Lotus+
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飛べない鳥は
毎日 空を見上げていました
そうして空を飛ぶ鳥たちに 憧れていました
毎日毎日空を見上げて 見ていました
そのうち 自分も飛べるんじゃないかと思って
思い切って 飛んでみました
ふわっ と浮いて
それから すとん と地面に落ちました
一瞬の感覚
たった一時の 空を飛ぶ感覚
飛べない鳥は もう一度その感覚を味わいたくて 木に登ろうとしました
けれども 鳥の足では上ることは出来ません
ふと 地面には虫たちがたくさんいることに気づきました
飛べない鳥は 毎日毎日虫たちとお話しました
ある日 コオロギが言いました
オーケストラに入らないか と
スズムシは言いました
僕たちと一緒に歌を歌おう と
飛べない鳥は 喜びました
次の日 飛べない鳥は2匹の虫たちと一緒に 歌を歌い始めました
すると どんどん虫たちが集まってきます
空を飛んでいた鳥たちも その歌声に引きつけられて降りてきました
3匹の奏でるメロディーは
とても綺麗で美しかったのです
それ以来 飛べない鳥は
空を見上げることをしなくなりました
その代わり
毎日毎日 歌を歌っていました
コオロギやスズムシがいなくなっても
雨が降っても 雪が降っても
歌うことを 止めませんでした
そうして ある時
ふと 歌声が聞こえなくなりました
虫や鳥たちは慌てて 飛べない鳥のもとへと向かいました
そこには
動かせないはずの羽根を めいいっぱい広げて
立ち尽くしてる鳥がいました
鳥たちは飛べない鳥を背負い合って 空を飛び立ちました
そうして 遙か彼方へと
飛べない鳥が飛びたかった空へ 還してやりました
一緒に歌ったコオロギとスズムシは この事を知りません
木の葉が紅く染まったころ
彼らは 飛べない鳥がいなくなったことを知りました
それ以来 飛べない鳥に届くように
秋の空に向かって 毎日毎日彼らは歌っています
一緒に歌った あの曲を
並んでペダルを漕ぐ
いつも通りの道
いつも通りの他愛のない会話
いつも通りの私
いつも通りの彼
全てがいつもの通り
何も変わらない 二人の帰り道
何も変わらない 二人の日常
チャンスなんていくらでもあった
「光にもようやく彼氏ができたんだって」
なんとなく今日あった話題を口にしてみる
なんとなく
寧ろ、ワザとか・・・・
「へぇ、そりゃ良かったな」
「良いよねぇ~」
「何が?」
「彼氏」
「なぁ~」
予想通りの答えに私は軽く溜息を吐く
寧ろ、予想を裏切った答えか・・・・
やっぱりそう上手くはいかないか
「あんたはすぐ出来るでしょ」
「彼女が?」
思った通りの答えに私は笑顔を見せる
寧ろ、思った通りではない答えか・・・・
やっぱりそう上手くはいかないか
「ばかっ、好きな子とかいないの?」
「まぁな」
分かり切っていた答えに私は苦笑いをする
寧ろ、分かりたくなかった答えか・・・・
やっぱりそう上手くはいかないか
「どっちよ」
「それよりお前はどうなんだよ」
期待通りの答えに私は少し驚く
寧ろ、期待してなかった答えか・・・・
やっぱりそう上手くはいけないか
「ぁ、あたしこっちだから帰るね」
そう言って私は自転車のハンドルを左にきる
「あ、おい」
「ばいばい」
ちょっとだけ振り返って手を振り、私はガードレール沿いの道を一気に駆け抜ける
「・・・お、おう」
二人の日常はいつまで経っても日常で
「好きだよ・・・・」
後ろで立ち竦む彼を尻目そう一人で呟いてみた
日常の帰り道は自転車
(私は何時だって仕掛けるだけ)
並んでペダルを漕ぐ
いつも通りの道
いつも通りの他愛のない会話
いつも通りの僕
いつも通りの君
全てがいつもの通り
何も変わらない 二人の日常
何も変わらない 二人の帰り道
チャンスなんていくらでもあった
「光にもようやく彼氏ができたんだって」
「へぇ、そりゃ良かったな」
「良いよねぇ~」
「何が?」
「彼氏」
ホラ
「俺がなってやろうか?」
なんて言える筈もなく
「なぁ~」
そう言って同意するしかなかったりする
「あんたはすぐ出来るでしょ」
ホラ
「お前が付き合ってくれるんならな」
なんて言える筈もなく
「彼女が?」
そう言って冗談言ったりするしかなかったりする
「ばかっ、好きな子とかいないの?」
ホラ
「お前だよ」
なんて言える筈もなく
「まぁな」
そう言って曖昧にするしかなかったりする
「どっちよ」
「それよりお前はどうなんだよ」
「ぁ、あたしこっちだから帰るね」
「あ、おい」
「ばいばい」
「・・・お、おう」
二人の日常はいつまで経っても日常で
「俺お前の事すきなんだぜ」
遠くなっていく彼女の背中を見つめてそう一人で呟いてみた
自転車の帰り道の日常
(いつまで経っても踏み出せないんだ)
気のせいじゃない、と思う。
帰り道。
二人で歩く。
別に付き合っているとか言う訳ではなく、ただ単に家が近所なだけである。
いつもなら楽しく会話して時間が短く感じる帰り道
のはずなのだが、
ここ一週間はろくに会話していない。
さすがに一週間はキツイ。
沈黙に耐えかねて俺は
「なぁ、俺の事嫌い?」
ふいに聞いてみる。
「・・・・・・・・」
彼女は驚いた表情で俺の顔をみる。
「なぁ「嫌いじゃ、ないわよ」
俺の台詞を遮ってそう言う。
彼女は俺の顔から視線をずらし真っ直ぐ前を見ていた。
自然と顔が綻ぶ。
「好きじゃないだけで」
今度は俺が彼女の方を見る。
満面の笑み。
こう言う時に限っての対応をどうすれば良いのかなんて何処かに用意されてるはずもなくて
(俺、どうしたら良いんですか?)
少なからず凹んだ俺なわけで
「嘘だけど」
顔を赤らめてそう言う彼女の言葉を俺が聞けるはずもなくて・・・
「今日、体育でバスケだったんだ」
保健室
俺はベットに寝る訳ではなく、ベットの側に用意された椅子に座っている
目の前には少女が一人
気持ちよさそうに眠っている・・・だけのなのかもしれないが
「俺、3Pシュート決めたんだぜ」
聞いているかも分からない相手に話を進めてみる
返事なんて、期待していない
「俺・・・・・」
「俺、お前の事好きなんだ」
呟くようにそれでも相手にハッキリと聞こえるように言った
返事なんて、期待していない
目の前の相手は眠ったまま
もしかしたら眠ったふりで実は起きている
なんてよくあるパターンを期待してみたり
だけど
世の中そんな上手くいかないモノで
俺にも聞こえるほどの寝息をたてている
「なぁ・・・・」
どうしていいか分からなくなって適当に言葉をかけてみた
もちろん
返事なんて、期待していない
だけど、
なんか後になってとてつもなく恥ずかしくなってきて
一人で顔真っ赤にしてあたふたしてた
それでも、やっぱり目の前の相手は目を覚ます事なんてなくて
少し冷静になってみると俺は溜息しかでなかった
「はぁ~」
俺、もう二度と言わねぇからな
嘘だけど。
「なぁ、聞いてんのか?」
返事なんて、期待していない
分かってるけど聞いてみただけ
俺は返事なんて期待していない
何も期待していない
嘘だけど。
(やっぱ漫画の様にはいかねぇか)
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悪魔だったら信じるカモ
そんな捻くれ者です